旧産業組合の抵当権の抹消(備忘録)

こんにちは。妻で補助者の谷村です。

今回は、産業組合の抵当権の抹消登記のお話です。

初めて扱ったので、備忘録として書いております。

 

少し前に、数十筆ある農地の相続登記をご依頼頂いたのですが、そのうちの一つの土地にだけ、次の抵当権が残っていました。

原  因 明治44年4月8日金銭消費貸借の設定

債 権 額 金100円

利  息 年8分5厘

抵当権者 無限責任〇〇信用組合

 

この抵当権を抹消するか否かの判断材料として、まずは依頼人の方にお見積りを出す必要があったため、登記までの流れを確認しました。

 

まず、抵当権者の閉鎖登記簿をとってみると、一般的な産業組合と同じく、市町村農業会に権利義務が承継され解散していることが分かりました。

 

ここでまず考えたのは、裁判所で清算人を選任してもらい抹消する方法と、休眠担保の抹消(不登法第70条3項後段)です。

ただ、休眠担保の抹消を使うには、抵当権者が行方不明であることが条件となりますが、法人の場合、閉鎖登記簿が既に廃棄されていて取得できないことが必要となります(昭和63・7・1民三3456第三4)。

閉鎖登記簿の保存期間は20年ですが、現時点で実際に廃棄している法務局は少ない状況のようです。

今回の農業会も、やはり閉鎖謄本が残っていたため、清算人で検討することにしました。

 

次に、原因日付をどうするか。

弁済を証明できる書類は残っていないため、清算人との合意解除か、時効消滅が現実的です。

ただ、合意解除にすると農業会への抵当権移転登記が必要となるため、時効消滅が良いということになりました。

 

そこで少し心配したのが、時効消滅を原因とするには、裁判所によっては裁判をしてくれと言われる可能性があるのではないか、ということです。

裁判所が清算人を選任するということは、その申立ての理由となる行為について清算人の権限を認めることになります。

この場合権限とは、抵当権の抹消の登記義務者となることであり、結果として消滅時効の完成を認める行為となるので、それは微妙なのではないかと。

でも、これは正直、考え過ぎでした。

管轄の地裁へ相談したところ、一も二もなくOKでした。

農業会に関しては、事実関係が明白だからではないかと思います。

 

また、もう一つ心配していたのは、清算人に司法書士の谷村が選ばれるかどうか、ということでしたが、これも大丈夫でした。

こちらの推薦通り選任して頂き、清算人の報酬を放棄することで、費用を大きく抑えることができました。

裁判所が決める清算人の報酬はちょっと高額なので、そうなってくると、抹消せずに放置するという判断も出てきてしまいますよね。

それは、ご依頼人の方にとっても、私たちにとっても、国にとっても、好ましくないことです。

 

以上の流れでご依頼を頂き、無事に抹消することができました。

とても勉強になるお仕事でした。

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